PLASは、アフリカで20年間活動してきました。
子どもたちや保護者へのカウンセリング。
子どもたちが自己決定できるようになるためのサポート。
保護者の方が経済的に自立していくためのスモールビジネス支援。
そして、現地NGOとの協働。
小さな団体ですが、現場でたくさんの試行錯誤を重ねてきました。
この知見を、PLASだけのものにしていていいのだろうか
今、強く感じていることがあります。
それは、この20年分の知見を、PLASだけのものにしていていいのだろうか、ということです。
世界には、今も支援を必要としている子どもたちがたくさんいます。
もちろん、私たちが直接支援を届けることで変えられる世界はあります。
でも、小さな団体であるPLASが、限られた私たちのリソースをもっと世界のために活かすなら?
直接支援に加えて、20年間積み重ねてきた知見を世界に開いていくことも、大切な貢献の形なのではないかと思うようになりました。
現地のNGOにも。
日本の国際協力NGOにも。
現地の行政や教育機関、医療機関にも。
必要な人が、必要な知見にアクセスできるようにしたい。
そのために、今あらためて必要だと感じているのが、AIを活用した組織変革、AXです。
AXは、単なる業務効率化ではない
AXって最近よく聞きませんか?
AXとは、AIトランスフォーメーションのこと。一昔前はDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれていましたが、今はAXです。
AXというと、「AIで業務効率化する話ですよね?」と思われるかもしれません。
もちろん、それも大事です。
小さなNPOにとって、一人ひとりの時間は本当に貴重です。
AIによって日々の作業負担を減らせるなら、それは大きな意味があります。
でも、PLASで考えているAXは、それだけではありません。
私たちが本当にやりたいのは、組織の中に蓄積された知恵を整理して、未来に残し、世界に開いていくことです。
AIは、そのための手段です。
PLASに蓄積されてきた20年分の現場知
PLASには、20年間の現場知があります。
たとえば、子どもや保護者へのカウンセリングのマニュアル。
カウンセラーを育成するための研修キット。
性教育や自己決定支援の教材。
子どもたちにわかりやすく伝えるためのマニュアル。
それを担う人を育てるためのマニュアル。
さらに、保護者の方が経済的に自立していくための研修もあります。
農業でスモールビジネスを始めるための研修。
養鶏で収入をつくっていくための研修。
保護者の方が収益を得ながら、その収益を子どもたちに投資していけるように伴走する方法。
考え方から、マインドセット、具体的な研修内容や教材まで、本当にいろいろなものが蓄積されているんです。
これは、20年かけて積み重ねてきたものです。
現場での経験があり、失敗があり、子どもたちや保護者との対話があり、それを一つ一つフィードバックして形にしてきたものです。
知見は、放っておくと属人化する
こうした知見は、どうしても属人化しやすいものです。
誰かの頭の中だけに残ってしまう。
人が変わると失われてしまう。
資料はあるけれど、どこにあるのかわからない。
だからPLASでは、できるだけ文書化することを心がけてきました。
そこに意識的にお金を付ける、というのも、私が20年かけてやってきた大切な軸でもあります。
これを外に開いていきたい。
ただ、それを「外に開ける形」にするには、まだまだ必要なことがあります。
自分たちの現場で使うためにカスタマイズされたノウハウや資料を、他の地域や他の国の人が見ても使えるようにするには、翻訳や整理だけではなく、背景や文脈も含めて伝える必要があります。
そして、正直に言うと、ここにはかなり大きなハードルがあると思っていました。
AIによって、少し現実味が出てきた
で、AIです。AXです。
人力だけで20年分の知見を整理し、再構成し、必要な人に届く形にする。
それは、簡単なことではありません。
でも!ここ2年ほどAIをいろいろ触る中で、少し見え方が変わってきました。
もしかすると、AIを活用すれば、思っていたよりも現実的にできるかもしれない。
そう感じるようになったのです。
PLASでは今、Google Workspace、Slack、Dropbox、Salesforce、Notionを使い、AIはChatGPT、Geminiなどを使っています。
一つひとつは、特別なものではありません。
でも今は、それらを「AI前提」で見直し始めています。
Notionを、組織知を残す場所にする
たとえばNotion。
PLASではもともと、Googleサイトに10年以上マニュアルを蓄積してきました。
スタッフだけがアクセスできる、PLASの内部マニュアルサイトのようなものです。
それを1〜2年ほど前に、Notionに移行しました。
正直、かなり骨の折れる作業でした。
スタッフにも負担感があったと思います。
でも、これからの時代、AIとうまく連携できるかどうかは、組織にとってとても大事になると感じていました。
だから、組織の知識や知恵を残す場所として、AIと連携しやすいNotionに移すことにしたのです。
Notionでは、AIも検索しやすいようにタグをつけたり、グルーピングしたり、タイトルを検索しやすい形に整えたりしています。
もちろん、これはAIのためだけではありません。
人にとっても、見つけやすい情報に整理したのです。
便利さより、信頼を優先する
一方で、AIに何でもつなげればいいとは思っていません。
特に、個人情報やセキュリティは慎重に考えています。
例えば、Salesforceには、寄付者や支援者の方々の大切な情報があります。
ここをAIと連携するなら、かなり丁寧な設計が必要です。
たとえば、AI連携用のアカウントをつくる。
そのアカウントには、個人名、メールアドレス、住所、電話番号などにはアクセスさせない。
寄付履歴やイベント参加履歴、メール開封履歴など、個人情報を含まない範囲の情報だけを扱えるようにする。
そうして適切な権限管理を設計すれば、セキュリティに気をつけながら、AIに必要な情報を渡すことができるかもしれません。
便利さより、信頼を優先する。
これは、PLASがAXを進めるうえで、大原則としたいことです。
Slackを入口にすると、働き方は変わるかもしれない
もう一つ、今構想として考えているのが、SlackをAI活用の入口にすることです。
スタッフが、普段の会話の延長でAIに仕事を依頼できる状態です。
たとえば、
「去年の寄付キャンペーンの分析を教えて」
「この助成金に申請したいので、過去の関連資料を探して」
「この事業に新しいスタッフが入るので、経緯をまとめた資料をつくって」
そんなふうにSlackでAIに話しかける。
するとAIが、SlackやNotion、Dropbox、Google Driveなどを見に行き、必要な情報を探し、整理して返してくれる。
場合によっては、WordのドキュメントやPowerPointのたたき台まで作って、Slack上でお返事をくれる。
AIに苦手意識があるスタッフでも普段業務を行うSlackで同僚に話しかけるように、AIエージェントに相談すればいい。
そんな状態がつくれたら、働き方はかなり変わるのではないかと思っています。
小さなNPOでも、ここまでできるかもしれない
PLASには、大きな予算があるわけではありません。
テクノロジーの専門チームがいるわけでもありません。
たぶん、PLASの中で一番テクノロジーに詳しいのは私だと思います。
でも、私も専門家ではありません。
プログラミングができるわけでもありません。
だからこそ、面白いと思っています。
そんな小さなNPOでもできる。
専門チームがなくても、試行錯誤しながらAXを進められる。
もしPLASがそれを示せたら、他のNPOや小さな組織にとっても、一つの希望になるのではないかと思うのです。
みんながワクワクできることが、組織を動かす
今日、数人のスタッフにもこの話をしました。
実際に画面を見せながら、「こういうことが実現できるはずなんだよ」と、私が試行錯誤しているものを共有しました。
すると、反応がすごくよかったんです。
「面白そう!」
「ワクワクする!」
「これは今すぐやったらいいと思います」
そんな声が出てきました。
それが、私はとても嬉しかった。
組織が変わっていくときに一番大事なのは、みんながワクワクできることなのかもしれません。
「これをやったら、もっといい未来がつくれるかもしれない」
「もっと面白いチームになるかも!」
そう思えること。
それが、とても大切なのです。
PLASの知見を、社会に開いていくために
AIを入れること自体が目的ではありません。
その先に、業務効率化があります。
支援の質を高めることがあります。
そしてさらにその先に、PLASが20年間蓄積してきた知見をオープンソース化していくという、大きな目標があります。
PLASにとってAXは、単なるAI導入ではありません。
組織の力を少しずつ高めて、子どもたちが前向きに生きられる社会をつくるための挑戦です。
20年間積み重ねてきた知識や知恵を、PLASの中だけに閉じず、社会に開いていく。
そのための組織基盤として、AIを活用できる状態をつくっていく。
そんなことを、今考えています。
その試行錯誤を読みたい方は、ぜひ無料で購読してください。
そして、この挑戦に向けて、もうすぐクラウドファンディングを開始する予定です。
開始は5月18日!
またお知らせしますので、ぜひチェックして応援いただけたら嬉しいです。
PLASの20年を、次の20年へ。
そして、もっと広い世界へ。
少しずつですが、始めていきます。





素晴らしいです。〜
私も「みんなのさいわい」10年の知見を公開予定です。
なんか仕事にやりがいありまくりな様子がすごく伝わってきます🐢